deeplytruly diary

愛と音楽のある生活 ありのままの普段の暮らしを記録していくブログ

教養としての音楽 人生のためのレッスン

 


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BENJAMIN ZANDER'S INTERPRETATIONS OF MUSIC: LESSONS FOR LIFE

 

ベンジャミン・ザンダーという指揮者がいる。ボストンフィルハーモニーの指揮者、ユースオーケストラの指導もしており、大変熱心な教育者である。私が初めて彼を知ったのはhttps://blog.hatena.ne.jp/deeplytruly/deeplytruly.hatenablog.com/edit?entry=13574176438049138024#source「TED」で彼のプレゼンを見たときだったと思う。それから何年も経って、この動画を知ることになったのだが、英語の勉強にもなるかなと見始めたこの「LESSONS FOR LIFE」シリーズがとても興味深い。

彼自身は指揮者だが、ヴァイオリンやチェロ、トランペット、声楽、室内楽、もちろん指揮の指導もしていて、内容は単なる技術的な指導というのではなくて、いわゆる曲の解釈についてを解説しながら、若者たちの演奏をよりいきいきとした、より表現豊かな演奏に仕上げていくのだ。タイトルの「人生のためのレッスン」というのがいい。そのタイトル通り、音楽家演奏家ではない私のような人間にとっても、学ぶことの多い内容となっている。教養としてクラシックを聴いてみたい、その曲についても知りたいという人にはとてもおすすめできる動画である。

いくつかお気に入りの回があるのだが、その中の一つがこのエルガーのチェロ協奏曲の回だ。もともと好きな曲ではあったが、どのような曲なのかまでは詳しくしらなかったので、この曲がどのような背景で作曲されたのか、作曲者の人生がどんなものだったのか、そして実際演奏家がどのように演奏するのか。そんな内容を弾き手と一緒に学んでいくことができる。

この動画で演奏している青年は最初からとても堂々とした素晴らしい演奏をするのだが、ベンジャミン・ザンダー氏の指摘を受けて、どんどんと表情豊かに深みのある演奏になっていくのが、見ていてとても興味深い。

 

この回では、演奏家にとって大切なことについての解説がとてもおもしろくて、ただただ自分の世界だけで弾くのではなくて、弾き手と聴衆とのコミュニケーションが大切だという話。聴いているひとの「心に触れる」とはどういうことなのか。

演奏が終わったあと、彼はすでに立派なチェリストである生徒にこう言った。本当に心に触れられた人の顔がどんなものなのかよく見ておくようにと。直訳すると「人間というものの本当の造形」というような言い方をしていたと記憶しているが「心に触れる」音楽を聴いた聴衆の一人の女性の表情がとても美しくて、音楽が心に届いて、触れられ、満たされ、感化されている人間の表情というのはとても美しいと心から思った。そんな風な表情を引き出せる音楽の力にも、改めて驚きを覚える。

 

音楽というのは時に人生を救うこともあるのだ。

 

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